全国的に流行しているRSウイルス感染症がここ札幌市でも近年になく報告数が増加しています。昨年度は報告数がほぼ0だったのですが、免疫ができていない集団保育の乳幼児等の間で感染が広がっている様です。小児の細気管支炎や肺炎の原因となることがよく知られており、特に低出生体重児や心肺疾患のある子は重症化しやすいため要注意です。またその他の合併症として特に多いのが急性中耳炎で、一度感染すると以降も反復、難治化しやすくなることは耳鼻咽喉科医の間ではよく知られており、その割合は報告者により20〜70数%と様々です。当院でも最近久々に急性中耳炎の乳幼児を観る様になりました。ちなみに急性中耳炎は耳の穴の外側からウイルスや細菌が感染するわけではなく、いわゆる「鼻かぜ」から耳管経由で中耳まで炎症が波及することをお忘れなく!RSウイルス感染症では咳ばかりでなく鼻水もグチュグチュしますよね。
ここで問題となるのはRSウイルス感染症の場合、当然大多数のお子さんは小児科を受診するのですが耳鼻科的な診察をスル―されているケースがあるという事です。特に0〜1歳児では耳の穴も小さいために詳細な鼓膜所見が見にくいことがありますので、耳鼻科専門医による診察は是非必要と思います。また基本的にRSウイルスが原因での(ウイルス性)中耳炎に対しては抗菌剤(抗生物質)が不要という事になりますが、その後に細菌感染を併発することもよくあり、その場合第一選択薬はAMPC(アモキシリン、ペニシリン系です)またはCVA/AMPC(クラバモックス)である事は診療ガイドラインなどを一度でも見たことがあるお医者さんなら常識です。中耳炎ばかりではありませんが、いまだに上気道の細菌感染症に対しいきなりTFLX(オゼックス、キノロン系です)などの最終兵器が処方されているケースを眼にしますが、嘆かわしい限りと私は思っています。小児科・耳鼻科の選択は慎重に!
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